Discourseエンカレッジメントファンド

Erlend Sogge Heggen
Feb 16, 2017 • 3 min read

もうすぐ1年になりますが、私たちはオープンソースプロジェクトにとってかなりリスクが高いと考えられているあることを行ってきました。それは、コントリビューターへの報酬の支払いです。私たちのようなコミュニティは、根本的に内発的動機によって成り立っています。お金が絡むとエコシステム全体が危うくなる可能性がありますが、この1年間、私たちはミッションクリティカルな作業に対してコントリビューターへ報酬を支払いながら、ボランティア精神の文化を維持できるモデルを試験的に運用してきました。

すべては約1年前のMozilla Open Sourceグラント*から始まりました。このグラントにより、私たちは自社のビジネスにとって戦略的なフィーチャーを開発するために自社の開発者に報酬を支払うことが実質的に可能になりました。ただし、それらのフィーチャーがMOSSロードマップに掲げた「公共の利益」というミッションステートメント(メール機能の改善)にも合致している必要がありました。このグラントによって自社開発者の時間の一部が賄われるようになったため、私たちは同等の金額を自社の資金から出資し、コミュニティの開発者が取り組める実験的なベンチャーにも投じることで、その恩恵を還元することにしました。

これまでに16名の異なる開発者に対し、合計17,000ドルを小さなタスクの報酬として支払ってきました。すべての成果物はオープンソースであり、有償の作業を共に行った開発者のうち2名は現在私たちのチームのコアメンバーになっています

コントリビューターへの報酬プロセス

この1年間、私たちは有償のコントリビューター業務を処理するプロセスを磨き続けてきました。ここでは、学んだ主な教訓をご紹介します。

大まかな仕様を定義してください。 箇条書きを含む1ページ程度のものをmeta.discourse.orgにパブリックなディスカッショントピックとして投稿するだけで、通常は十分です。重要なのは、実装に関する議論を乗り越えることです。社内開発では仕様がまだ定義・議論中の段階から作業を始め、コードを通じて議論し、最終的に合意に至ることもありますが、外部委託の作業ではこれは理想的ではありません。コアな開発者の間でキーとなるアイデアについて100%のコンセンサスが取れていれば、仕様はある程度大まかなままでも構いません。

小さなタスクにしてください。 すべてのタスクの報酬は150〜1,500ドルの範囲です。それ以下の場合は、通常、無償のコントリビューションの機会として残しておく方が良いでしょう。それ以上になると、一回限りのタスクではなく、プロジェクト(すなわち依存関係や締め切りが生じるもの)になってしまいます。

時給制にしないでください。 固定報酬にすることで取引がシンプルになります。私たちは「Task-XをY$でやってみませんか?」と打診し、コントリビューターがスコープを評価し、いくつかの追加目標を削った後に話がまとまります。この報酬は、フリーランスの仕事というよりも、価値あるコントリビューターへの謝意として捉えています。

誰に、何を、いつ依頼するかは私たちが決めます。 最初はタスクを「先着順」で公開しようとしましたが、この方法はあまりうまくいきませんでした。複数の希望者が集まり、1人を選んで残りの人を断らなければなりません。代わりに、開発者に個別に一人ずつアプローチするようにしました。私たちはオープンソースプロジェクトであるため、誰が何を得意としているかをよく把握しており、最有力候補にタスクと「報酬」を提示し、承諾または辞退の返答をもらいます。辞退された場合は、次の有力候補に進みます。特定のタスクに対して適切な候補者がいなくなった場合は、自分たちで対応するか、保留にします。

タスクは基本的に戦略的なものです。 つまり、直接的または間接的に、この改善がCDCK Inc.のコスト削減や収益増加につながるものです。これは「どのような作業に資金を出すべきか」という線引きをする最も簡単な方法です。

タスクは基本的に時間的な制約が少なく、依存関係もありません。 完了さえすれば、明日であっても来月であっても、私たちにとってはほとんど問題ありません。パートタイムのコントリビューターに、猛スピードで進むコア開発の列車に飛び乗ることを期待するのは得策ではありません。

分散させてください。 私たちは特定の人を贔屓しないように努めています。多くのボランティアコントリビューターは、コアチームとより専門的なレベルで密接に協力する機会を喜んでいます。私たちも同様です。そのため、プログラマー、デザイナー、テクニカルライターを問わず、コミュニティの常連メンバーできるだけ多くの方とその経験を共有したいと思っています。さらに、散発的な行動喚起である本取り組みは、オープンソースのボランティア精神における give & take の雰囲気を乱さないようです。

これは無期限に継続するプロセスです。製品とコミュニティの両面において、私たちは結果に非常に満足しています。

長い間、これは私たちが行っていることに過ぎませんでしたが、やがて「Discourseエンカレッジメントファンド」と呼ばれるようになりました。できることなら全コントリビューターを安定した給与制で迎えたいところですが、それは叶いません。私たちにできることは、彼らが行っている仕事があらゆる意味で価値のあるものであること、そしてDiscourseを専門とすることで収入を得られることを伝えることです。本当に意欲のある方には、チャンスは必ずあります。エコシステムが大きくなることは皆にとって利益になりますので、Discourse関連の仕事で安定した収入を得ることをお考えの方は、ぜひご相談ください

p.s. そもそもボランティアに参加できること自体が特権であることは認識しています。エンカレッジメントファンドと合わせて、契約ベースの仕事や有償インターンシップについても試験的に取り組んでいますが、それはまた別の機会にご紹介します!

原文はこちら:


Good Loopでは、Discourseのセルフホスティングを安価で提供しています。開発元であるCDCK社の協力のもと、公式ブログ記事の翻訳・公開など、日本での普及にも努めています。

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